頸部頸動脈狭窄症とは、首の血管(頸動脈)の内側に動脈硬化によるプラーク(脂質のかたまり)がたまり、血管の通り道が細くなる病気です。
この狭窄が進行すると、脳への血流が不足したり、プラークの一部がはがれて脳の血管を詰まらせることで脳梗塞を起こすおそれがあります。
症状は一過性のものから重いものまでさまざまですが、代表的なものとして以下が挙げられます。
1. 片側の手足や顔のしびれ・脱力
2. 言葉が出にくい(構音障害)
3. 片目の一時的な視力低下
これらは一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれ、将来の脳梗塞の警告サインです。
この段階で受診し、治療を行うことが大切です。
複数の検査を組み合わせ、狭窄の程度や脳への血流の影響を総合的に評価します。
1. 頸動脈エコー(超音波検査):体に負担の少ない基本検査。血管の狭窄やプラークの性状を確認します。
2. MRI/MRA検査:血管の形態や脳内の血流を立体的に評価します。
3. 脳血流SPECT検査:脳のどの部分の血流が低下しているかを画像として確認できます。
4. 造影CT・血管撮影:必要に応じて、より詳細に血管の形態を評価します。
治療は、狭窄の程度や症状の有無、全身の状態などを総合的に判断して決定します。
当院では内科的治療と外科的治療をバランスよく選択し、患者さん一人ひとりに最も適した治療方針を立てています。
1. 抗血小板薬の内服(血液をさらさらにして血栓を予防)
2. 高血圧・糖尿病・脂質異常症のコントロール
3. 禁煙・食事・運動など生活習慣の改善指導
狭窄が軽度または無症状の場合は、まずこれらの治療を中心に行い定期的に観察します。
症状がある場合や、狭窄が高度な場合には、外科的治療によって血流を改善します。
当院では、頸動脈内膜剥離術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)の両方を行っており、患者さんの状態に応じて最適な方法を選択します。
首を小さく切開して頸動脈を露出し、血管の内側にたまったプラークを直接取り除く手術です。全身麻酔で行われ、再発が少なく、標準的かつ確立された治療法です。血管の形態が複雑な場合や石灰化が強い場合にも有効です。
足の付け根や腕の血管からカテーテルを挿入し、狭くなった部分に金属製のステントを留置して血管を広げる治療です。全身麻酔または局所麻酔で行い、体への負担が少ないことが特徴です。高齢の方や、心臓・呼吸器に持病がある方にも適しています。
杏林大学病院では、脳神経外科・脳卒中センターが連携し、患者さんの全身状態や生活背景をふまえたチーム医療を行っています。また、術前には脳血流SPECTや最新の画像解析を活用してリスクを丁寧に評価し、より安全で確実な治療を実現しています。
治療後も再発予防のための薬物療法や生活指導、リハビリテーションを継続的に支援し、患者さんが安心して社会復帰できるようサポートしています。
頸動脈狭窄症は、早期に発見し適切に治療すれば、脳梗塞を予防できる病気です。
「軽いしびれ」や「一時的な言葉の出にくさ」など気になる症状があれば、早めの受診をおすすめします。