未破裂脳動脈瘤(血管のコブ)をお持ちの患者さんで、くも膜下出血の発症リスクが高い方には手術をお勧めしています。 手術の方法は開頭手術と、カテーテル手術があります。 体への負担が少ないのはカテーテル手術ですが、 いずれの治療法にも一長一短があります。 血管のコブがしっかり治るか(根治性)と、 手術合併症が起きづらいかを検討し、患者さんに最適な治療法をご提案いたします。 開頭手術では2週間ほど、 カテーテル手術では1週間ほどの入院期間を要します。 手術後には再発がないか、 外来での経過観察が必要です。
未破裂脳動脈瘤は成人の3%程度が持っているとされており1)、くも膜下出血の発生率(10万人当たり約20人)を考慮すると、くも膜下出血を発症せずに一生を終える方がほとんどです(くも膜下出血のページもご参照ください)。
しかしながら、くも膜下出血の発症リスクが高いと見込まれた方には手術をお勧めしています。 出血リスクは日本人の6,697脳動脈瘤を解析したUCAS Japanと言われるデータが代表的であり2)、それらに基づいて、 コブができている血管の場所と大きさから年間のくも膜下出血発症リスクを算出します。
手術方法は開頭クリッピング術と、 カテーテル手術に大きく分かれます。
開頭クリッピング術は長い歴史があり確立された治療法です。 開頭を行い、チタン性のクリップを血管のコブの根もとに挟み込むことで、 コブへの血液の流入を無くします(図1)。 場合によっては皮膚の血管を脳の血管とつなぐバイパス手術を併用することがあります。
カテーテル手術は、足のつけ根や手首、肘からカテーテルを挿入し、血管のコブにプラチナ製の柔らかいコイルを詰めて、コブへの血液の流入を防ぎます(図2)。 単にコイルを詰めるだけでなく、バルーン(風船)や金属の筒であるステントを併用することもあり、最近では金属の目が細かなフローダイバーターステントを行うことが一般的になってきました。カテーテル手術では手術中や手術後の脳梗塞を予防するために、 血液をささらにするお薬(抗血小板剤)を事前に内服していただきます。
図1 開頭手術の際に撮影した写真。 血管のコブにかけたチタン性のクリップが右に見えています。手術専用の顕微鏡でおよそ20倍程度に拡大されています。
図2 カテーテル手術の際に撮影した写真。 血管のコブにコイルを詰め、 フローダイバーターステントを使用しました。 ステントを拡張させるためにバルーン(風船)を膨らませています。
1) Vlak MH, et al: Prevalence of unruptured intracranial aneurysms with emphasis on sex, age, comorbidity, country, and time period: a systematic review and meta-analysis. Lancet Neurol 10 : 626-36, 2011
2) Morita A, et al: The natural course of unruptured cerebral aneurysms in a Japanese cohort. N Engl J Med 366 : 2474-82, 2012